看護師の守秘義務

看護師の守秘義務

看護師には「守秘義務がある」ということを知っていますか?守秘義務とは、特定の職業に従事する者に対し、「職務上知り得た秘密を守る」と定めた法律の既定のことです。

 

看護師に限らずどんな職業でも職業倫理としての守秘義務は発生しますが、特に弁護士、公務員、医療従事者など特定の職業に従事する人に対してこの法律は定められています。つまり看護師は仕事をするうえで知ることができた秘密を守ることを法律で定められており、これを「看護師の守秘義務」と言うのです。

 

守秘義務に抵触するケース

では、どのようなケースが看護師の守秘義務に触れるのでしょうか?ある例を挙げて説明していきましょう。

 

地方の病院で勤務していた看護師Aさんは、仕事の関係で女性の患者Bさんの余命があと半年であることを知りました。Aさんは、Bさんが馴染みの飲食店の娘さんであることを知っていたため、つい何気なく自分の旦那さんにそのことを話してしまいました。

 

これだけでも看護師の守秘義務に違反しているのですが、さらに問題なのが、その話を聞いたAさんの旦那さんがBさんの親の飲食店を訪れた際に「あなたの娘さん、余命半年なんだってな」と話してしまったのです。娘の余命を知らなかったBさんの親は怒り、「精神的苦痛を受けた」として病院に対して損害賠償を求める訴訟を起こしたそうです。

 

「このケースは極端な例で、滅多にこんなことはない」と思うかもしれませんが、他にも看護師が患者さんの病状などを自分の家族や友人に話してしまったがために、話が広まってしまったということはあるそうです。

 

看護師に守秘義務がある以上は、大なり小なり職業上知り得た秘密を漏らすことは法律違反になります。これは「○○さんが××病院に診察に来た」というだけでも情報の漏洩となります。自分の知人や、芸能人や有名人が自分が働いている病院に来るとつい誰かに話したくなるかもしれませんが、法律で禁止されているということをしっかりと自覚して発言には注意しましょう。

 

守秘義務を守らないとどうなる?

万が一専門職としての秘密保持義務に反した場合は、『保険師助産師看護師法第42条の2』や『刑法第134条』等により処罰の対象となる可能性もあります。守秘義務を守らなかった場合、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられます。

 

これは退職後、保健師・看護師・准看護師でなくなってからも継続します。こうした看護師の職業倫理については養成機関でもしっかりと教育されています。

 

看護師は患者さんの病状や治療についての具体的なデータはもとより、患者さんとのコミュニケーションを円滑にするために患者さんの生活環境などのプライバシーや正確に直接かかわる多くの情報を扱っています。

 

最近ではそれらの情報が漏洩される危険性も多くなってきています。故意に流出させたり、書類やデータを入力したPCの紛失や盗難などといった事件・事故ではなく、何気ない不注意が大きな問題へと発展してしまうのです。これを防ぐためには、一人一人がきちんと守秘義務について理解し、注意していく必要があります。

 

個人情報漏えいのために看護師が気を付けること

家族や友人との会話

家族や仲のいい友人との間で、世間話や仕事の愚痴などを話しているときについうっかり口にしてしまうということも珍しいことではありません。日ごろから気を付けることが大切です。

 

公共の場所での同僚との内輪話

同僚と内輪話をしていたつもりでも、周りの人にまで話が聞こえてしまっている可能性もあります。カフェや居酒屋、通勤電車やバス、トイレなど誰がいるか分からない公共の場所での会話には特に注意して、名前や個人が特定されるような会話は避けるようにしましょう。

 

FacebookなどのSNS、Twitter、ブログへの書き込み

最近多いのが個人的なSNSやTwitter、ブログなどへの情報の書き込みです。ほとんどが個人が特定できるような情報は伏せてありますが、患者さん本人が目にしたら自分だと分かってしまう可能性もあります。

 

中には画像や検査データをアップしているものもありますが、患者さんの情報はあくまで患者さん自身のものですので、個人的な情報を公開してしまうのは個人情報の流用となります。くれぐれも注意しましょう。

 

書類の取り扱い

書類を書く時間がなかったからと言って、書類などを家に持ち帰ることは厳禁です。また、不用意にどこかの置き忘れることもあります。

 

病室を出る時や移動する時には、たとえメモ程度のものでも書類の置き忘れに注意しましょう。また不要になった書類は必ずシュレッダーで廃棄するようにしましょう。

 

問い合わせへの対応

病室ではお見舞いのお客さんや親戚などから患者さんの病状を聞かれることがありますが、勝手に病名を伝えたり病状を説明することは厳禁です。患者さん本人や家族から聞いてもらうように説明しましょう。

 

また、電話で入院中か退院したかという問い合わせが来ることもあります。中には職場、親戚等にも内緒で入院している人もいます。入院しているかどうかということも個人情報ですので、「直接、ご本人かご家族にお尋ねください」などと言葉を濁すようにしましょう。

 

日常的に患者さんの健康状態を含む様々な情報に触れている看護師は、患者さんの個人情報保護について意識が薄れがちになってしまいそうですが、認識を改めて個人情報の保護に努めましょう。